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5. ダリットの置かれている現状の報告

インドではダリットは生まれながらにしてダリットです。 ダリットの人たちは独自の文化を持っていて、それは何千年も前にさかのぼり、インダス文明のころから伝わっています。

しかしアーリア人のインド侵略によって法典が入ってきました。 その教えによって法典のほうが重要になるようになりました。

アーリア人の侵略の前にはカースト制はなく、人々はみんな平等でした。 三千五百年前にアーリア人が入ってきたことによってカースト制ができました。 その頃からダリットはカースト制を受け入れることを拒否していて、アーリア人と一緒に生活することを拒否してきました。 そういった人たちを触ることはもちろん、見ることもできないアンタッチャブル(不可触)としてきました。 ダリットがいるところに人が近づいてきたら、ここにダリットがいると音で知らせました。

その不可触制は法律で禁止され、そういったあからさまに見てはいけない、触ってはいけないということは無くなってきていますが、違った形で差別は残っています。




SREDのスタッフとIMADR-JCの坂東 希さん
SREDのスタッフと
IMADR-JCの坂東 希さん


ダリットの現状の歌を歌ってくれるスタッフ
ダリットの現状の歌を歌ってくれるスタッフ

サンダルを履いてはいけない、トイレなどの公共施設を使えない、ダリットの人が亡くなったときにどこに埋めてもいいというのではなく、埋める所を決められています。
特に、ダリット女性の状況は深刻で、低賃金で限りない重労働を課せられ、不可触民、穢れているといった差別を受けているにもかかわらず、夜になるとセックスを強要されたり、性暴力を受けます。 その時だけ、不可触民であるということが忘れられています。 そういったことがインドのダリットの中で女性のおかれている状況であります。

ダリットの教育問題は大変深刻になっていて、インドの教育が民営化されたことによって、お金のある上位カーストは私立の学校へ子どもを行かせ、お金のないダリットの子どもは公立の学校へ行きます。 公立の学校は教師の給料が低く、設備も全く整っていません。 そういう中で、たとえ学校に行ったとしてもあまり良い教育を受けられていないというのが今の問題となっています。

カースト制のために持つべき権利を奪われているし、権力を持っている人たちはダリットがどんどん力を付けていくこと、政治に参加していくことを許さない。 ただ、選挙の前になると票のためにその時だけ良い扱いをするけれどもそれは一票のためにやっており、政治に参加してくることは望んでいません。

ダリットの人たちが自分たちの権利を主張した時にはどういったことが起こるかの事例を挙げると、1つは団体で賃金を上げるための要求運動をした時に、40人が集まっていた家に放火され焼き殺されてしまいました。
2つ目は、他カーストの人たちも住んでいる村でダリットの人が村長に選ばれたが、他カーストの人がそれに従いたくないので村長とダリット6人がバスに乗っている時、7人全員が首を掻き切られて殺されました。 この事件は2000年に起こった事件です。

いくつかもう少し差別の事例を挙げると、学校での一つの例は、8歳の女の子がのどが渇いたので冷水機から水を飲もうとした時に、「この水は他カーストのための水だ。おまえの物ではない。」と言って教師に叩かれ、片目を失明してしまったという事例があります。

また、警察によるダリットやダリット女性に対する暴力の事例ですが、夫が盗みをしたという容疑で職務質問のために警察に呼び出されて行った後、その夫が全然帰ってこなくなってしまいました。 そのときにも暴力を受けていたのですが。 すぐに帰ってくるというのに帰って来なかったので妻が食事をもって面会に行くと、そこで叩かれて暴力を受けて、その場でレイプされたという事例もあります。 こういった事例はたくさんあります。

もう一つ事例を挙げると、子どもが水浴びや体を洗ったりするのにタンクの中に入っていたことがあった。 そこに上位カーストの人たちがきて、電気を走らせて感電死させたという事件がありました。

この事件に対してダリットの人たちが運動を起こしました。 こんな事があっていいのかとかなり大きな運動となり、この事件を訴えたが政府は全く見向きもせず、何のサポートしませんでした。 そして、運動をした結果、その問題を分かってもらえたのではなく、上位カーストからやっぱりダリットは水を持つべきではない。 ほらみてみろということを言われました。 その村は、ダリットが全く力を持っていない村で、仕事もなく、食べる物もろくにありません。 運動がない村はやはりそういう状況にあります。

ダリットの人たちが家を持てるようにする政府の政策があるが、ダリットの人たちに直接行うのではなく、村の村長を通して事業が展開されています。 しかし村長を通して家を建てていくことになるので、ダリットの人たちは賄賂を渡さないと家を建ててもらえないという状況があります。

家を建ててもらうために村長に2000ルピーの賄賂を渡して訴えたけれども、賄賂を払ったにもかかわらず、だまされて家を建ててもらえなかったということもありました。 お金を払ったのに家を建ててくれないのかと訴えると、訴えを起こしたことに対してその人は木に縛り付けられ、「これがおまえたちの食べる物だ。」と人糞を食べさせられたという事件がありました。 この事件でこんな事があってはならないと状況報告のレポートを作成して政府に訴えつづけているが、今のところ何の対応もありません。

インドには留保制度というのがあります。 政治家や村の村長など代表の18%がダリットでなければならないという制度です。 それはすべての政党の中でも適用されていて、ダリットがその政党の代表になることもありますが、その人たちはダリットの代表としてではなく政党の代表として話をするので、そのひとたちによってダリットの問題が表に出ることはありません。 ダリットの問題について話をしたいという人が代表になろうとするとなかなか代表になれません。 ダリットの問題を公にすることは許されない状況にあります。

ダリットの人は人がしたくない仕事、穢れるという状況があります。 なぜそのような特別な仕事を与えられるかというと、それはカースト制に基づいています。

カースト制とヒンドウー教というのは結びついています。 ダリットの人たちがそういうことに気付き始めると、ヒンドウー教を否定したり、ヒンドウー教徒になりたくないといって仏教やムスリム(イスラム教徒)、キリスト教に改宗していく人が今増えています。 政府はそのようにダリットの人たちが改宗していくのを避け、人がやりたくない仕事をダリットの人たちにこれからも押し付けていきたいので、ヒンドウー教から改宗させないための法律をどんどん成立させています。

このような事件がどんどん起こっています。
私たちはどんどん運動を起こして、こういう状況を変えていかなければなりません。
ファティマや色々な人がここで活動しているように、草の根レベルで広げ、国内レベルへ広げていく、そして国際レベルに訴え、あらゆるレベルに広げていくことだ大切だと思っています。 だから、日本から来た皆様に話ができたことを大変うれしく思っています。